個人事業主がホームページを経費にする方法と勘定科目COLUMN / 2026.05.07

「ホームページを作ったけど、これって何費で落とすの?」「30万円超えたら一括で経費にできないって本当?」 — 確定申告をご自身でされている個人事業主の方からよく聞く質問です。勘定科目の使い分け・10万円と30万円の壁・freeeとマネフォの仕訳例・インボイス制度の経過措置 まで、税務に明るくない方向けに整理しました。

※ 本記事は 2026年5月時点 の国税庁タックスアンサー・財務省の税制改正大綱を参照した 一般的な情報提供 です。税理士監修記事ではありません。税務の取扱いは個別の事業実態によって異なるため、特定の取引に対する税務判断・確定申告の最終的な処理は 必ず顧問税理士または所轄の税務署 にご相談ください。

確定申告を自分でやっていると、「ホームページ制作費の領収書、これ何費で打てばいいんだろう」と固まる瞬間があります。会計ソフトの勘定科目リストを開いても、「広告宣伝費」「通信費」「ソフトウェア」「繰延資産」など似たような選択肢が並んでいて、どれが正解か判断しづらいのです。

この記事では、ホームページ制作費の勘定科目を、金額の壁・実際の仕訳・インボイス制度の経過措置 の3つの軸でまとめます。雪工房(SNOW WORKSHOP)の単価帯で言えば、ほとんどのケースが「広告宣伝費で1行」で完結しますが、なぜそうなるかの根拠と、例外パターンの見分け方まで踏み込んで解説します。

HP制作費は何費? — 結論から言うと「ほとんどは広告宣伝費」

結論を先に書きます。中小規模の個人事業主が10〜20万円程度で発注する一般的なホームページ(コーポレートサイト・店舗紹介・LP)の制作費は、原則として「広告宣伝費」として支出時に全額経費に計上されるのが一般的 とされています。

国税庁の旧解説(タックスアンサーNo.5461、現在は同庁サイトから削除)でも、「ホームページは企業や新製品のPRのために制作され、内容が頻繁に更新されるため、開設費用の効果が1年以上に及ばない」という整理から、支出時の損金として扱うのが相当とされていました。掲載自体は終了していますが、この考え方は実務上の取扱いとして現在も引き継がれています。

ただし、注意したい 例外 が1つあります。制作費の中に 独自開発のシステム(プログラム) が含まれていて、それを1年以上使い続けるケースです。たとえば会員管理システム、独自の予約システム、ECのカート機能などをスクラッチで組んだ場合、その部分は 無形固定資産(ソフトウェア・耐用年数5年)として減価償却 が必要になります。

言い換えると、「読み物・名刺代わり」の静的なHP なら広告宣伝費、「業務システムの一部」になっているHP ならソフトウェア、と切り分ける考え方です。雪工房がお作りするのは静的HTMLベースの前者なので、この例外には該当しません。

金額で変わる4つの分岐 — 10万円・20万円・30万円の壁

ホームページが「資産」と判定された場合(=独自システムを含むなど)は、取得価額 によって処理が変わります。金額の壁は4つです。

取得価額税務上の扱い経費計上のしかた
10万円未満少額の減価償却資産消耗品費・広告宣伝費等で 全額一括
10万円以上 20万円未満一括償却資産(選択可)3年間で均等償却(年あたり1/3)
20万円以上 30万円未満少額減価償却資産の特例(青色申告のみ)全額一括 or 通常の減価償却を選択
30万円以上通常の減価償却資産耐用年数5年で減価償却(ソフトウェア該当時)

ポイントは、「取得価額」はホームページ全体の制作費合計 で判断する点です。「画像作成3万円+HTMLコーディング8万円=合計11万円」のような請求を、それぞれ別の科目で処理することはできません。一体として運用される機能の合計で見ます。

※ 取得価額は原則として税抜金額で判定します(税抜経理を採用している場合)。免税事業者や税込経理の方は税込金額で判定します。「29万円+税」と「29万円(税込)」では特例の適用可否が変わるケースもあるので注意してください。

そして冒頭の「ほとんどは広告宣伝費」に戻りますが、HPがそもそも「無形固定資産」と判定されない(=広告宣伝費として一括計上できる)ケース では、上の表にかかわらず、金額に関係なく支出時の費用として処理されるのが一般的です。一般的なコーポレートサイト・店舗紹介サイト・LPはこちら側の世界とされています。

雪工房の¥10,000〜¥15,000は「広告宣伝費」で1行で終わる

雪工房(月額0円ホームページのサービス詳細)でお作りする買い切り型のホームページは、初期費用 ¥10,000〜¥15,000 程度の価格帯です。この金額帯は、上の表で言うと 一番上の「10万円未満」の区分 に該当する金額レンジです。

freee や マネーフォワード クラウドの仕訳画面でいえば、「広告宣伝費」を1行入力するだけで完了 です。減価償却の計算も、固定資産台帳への登録も不要。確定申告書の「少額減価償却資産の明細書」も書く必要がありません。

※ 雪工房ではプログラムを伴う独自システム(会員管理・予約・EC機能など)は提供していません。静的HTMLを核にした構成のため、ソフトウェアとして資産計上が必要になるケースは基本的に発生しません。

このシンプルさは、確定申告をご自身でされている個人事業主の方にとって、地味ですが確かなメリットだと考えています。「経費にしたいから処理が複雑」では本末転倒なので、できるだけ 判断のコストを下げる ことを意識した価格設計です。

30万円以上なら「少額減価償却資産の特例」 — 2026年4月から40万円に拡大

「フルオーダーで30万円超のサイトを作りたい」「独自システム込みでガッツリ作りたい」という方には、少額減価償却資産の特例(中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例 / 措置法28の2)が使えます。

項目内容
正式名称中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例
対象者青色申告書を提出する中小企業者等(個人事業主も含まれる)
取得価額の上限30万円未満(〜2026年3月31日取得分)/40万円未満(2026年4月1日以降取得分)
年間合計の上限300万円まで
適用期限令和11年(2029年)3月31日まで
対象資産有形・無形(ソフトウェア・特許権・商標権等を含む)の減価償却資産

つまり、2026年4月以降に取得したホームページは、40万円未満であれば全額一括での損金算入が可能 とされています。これは 財務省 令和8年度税制改正の大綱 で正式に決まった内容です(国税庁タックスアンサー No.5408 の現行表記は30万円未満ですが、改正により2026年4月以降の取得から40万円基準が適用されます)。

※ 年間合計300万円の上限と、青色申告書の提出が要件です。白色申告ではこの特例は使えません のでご注意ください。また、特例を使うときは確定申告書に「少額減価償却資産の取得価額に関する明細書」を添付する必要があります(freeeなら自動生成されます)。

ドメイン・サーバー費の科目 — 通信費 or 支払手数料

ホームページ本体の制作費とは別に、毎月・毎年かかるのがドメインとサーバーの費用です。

  • ドメイン年額(例: お名前.com で年¥1,500前後)→ 通信費 または 支払手数料 が一般的
  • レンタルサーバー月額・年額通信費 が一般的
  • SSL証明書 → 通信費に含めるケースが多い

実は、これらの科目について国税庁から明確な公式定義は出ていません。実務慣行として「通信費」で統一 しておけば、税務調査で問題になることはほぼありません。一度決めた科目は、年度をまたいで 変えずに統一 することの方が大事です(科目を年ごとにコロコロ変えると、税務署側から「処理がブレている」と見られます)。

なお、1年分まとめて前払い したサーバー代は、短期前払費用の特例(法人税基本通達2-2-14、所得税にも同様の取扱いあり)を使えば、支払時に全額経費にできます。月割り按分の手間を省ける、地味に便利な処理です。

freee/マネーフォワードでの仕訳イメージ

ここからは、実際の仕訳をテキストで起こします。クラウド会計ソフトの「振替伝票」または「自動仕訳ルール」に登録するイメージです。

仕訳イメージ①: 10万円未満のサイト制作(一般例・青色申告)

日付借方貸方摘要
2026/05/15広告宣伝費 12,000普通預金 12,000ホームページ制作費(制作会社名)

freee の場合は、口座連携で取り込んだ取引明細に対して 勘定科目「広告宣伝費」を割り当てる という流れが一般的です。マネーフォワードクラウドもほぼ同じ流れになります。

仕訳イメージ②: 独自システム込みで¥350,000の制作費(一般例・少額減価償却資産の特例適用ケース)

日付借方貸方摘要
2026/05/15工具器具備品 350,000普通預金 350,000ホームページ制作費(資産計上)
2026/12/31減価償却費 350,000工具器具備品 350,000少額減価償却資産の特例 全額損金算入

freee では「固定資産台帳」に登録する際、償却方法で「少額償却資産特例」を選択 すれば、決算時に自動で全額損金として処理されます。確定申告書の「少額減価償却資産の取得価額に関する明細書」もfreeeが自動生成してくれるので、青色申告であれば実務的な負担はそれほど大きくありません。

インボイス制度下での適格請求書の扱い — 2026年10月から控除割合が80%→50%へ

消費税の課税事業者の方は、ホームページ制作会社が 適格請求書発行事業者(インボイス事業者) かどうかで、仕入税額控除の額が変わります。

インボイス制度の 経過措置スケジュール は次のとおりです(消費税法等の一部改正等の附則)。

期間免税事業者からの仕入の控除割合
2023年10月1日 〜 2026年9月30日仕入税額相当額の 80% を控除
2026年10月1日 〜 2029年9月30日50% に縮小
2029年10月1日以降控除不可(経過措置終了)

つまり、2026年10月以降は、インボイス番号がない請求書では仕入税額の半分のみが控除対象 となります。この記事の公開時点(2026年5月)から数えて、80%控除の期限は あと約5か月。発注先を選び直すかどうかの判断材料になります。

雪工房は 適格請求書発行事業者として登録済み で、見積書・請求書・領収書すべてに登録番号(T〜)を記載しています。発注いただく段階で控除上の不利は発生しません。

※ ご自身(個人事業主側)が 免税事業者 の場合は、そもそも消費税の申告・納付が不要のため、この経過措置の影響は受けません。「自分が免税か課税か」をまず確認してから判断してください。基準期間(前々年)の課税売上高が1,000万円以下なら原則として免税事業者です(インボイス登録した場合を除く)。

失敗しないチェックリスト

確定申告期に「経費にできなかった」「税務署から指摘された」を防ぐため、最低限の備えを5つ並べます。

  1. 適格請求書(インボイス)の登録番号がある請求書・領収書をもらう:課税事業者は必須。番号は「T」で始まる13桁の数字。請求書に記載がなければ発行元に依頼する
  2. 摘要欄に「何の費用か」を一文で書く:「ホームページ制作費(雪工房)」のように 事業者名と用途 を残す。空欄や「業務委託費」だけだと税務調査で説明できない
  3. 30万円以上は固定資産台帳に登録:少額減価償却資産の特例を使う場合も、明細書の添付が必要。freee/マネフォは自動生成可
  4. ドメイン・サーバー代の科目を年度間で統一する:通信費なら通信費でずっと通す。途中で変えない
  5. 領収書・請求書の電子保存ルール(電子帳簿保存法)を守る:クラウド会計に取り込み済みなら基本OK。紙で受け取ったものはスキャンして保存

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※ 再掲 — 本記事の内容は2026年5月時点の制度に基づいています。税制改正・国税庁の通達変更により、取扱いが変わる可能性があります。実際の経費計上にあたっては、必ず 最新の税法・通達 を確認の上、顧問税理士または所轄の税務署 にご相談ください。記載の金額・期限は執筆時点での最新情報ですが、最終的な責任は読者ご自身に帰属します。

雪工房では、お見積もり時に 適格請求書(インボイス)の登録番号入りの見積書・請求書・領収書 をあわせてお渡ししています。ホームページ制作のご相談は お問い合わせフォーム(または LINE)から、業種・規模・ご要望をお聞かせください。個別の税務処理・勘定科目の判断についてのご相談は、顧問税理士または所轄の税務署へお願いいたします。

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¥10,000〜¥15,000の初期費用は、確定申告で「広告宣伝費」1行で計上できます。減価償却の計算も固定資産台帳への登録も不要。適格請求書(インボイス)の登録番号入りの見積書・請求書・領収書もすべてご用意します。

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