※ 本記事は 2026年5月時点 の国税庁タックスアンサー・財務省の税制改正大綱を参照した 一般的な情報提供 です。税理士監修記事ではありません。税務の取扱いは個別の事業実態によって異なるため、特定の取引に対する税務判断・確定申告の最終的な処理は 必ず顧問税理士または所轄の税務署 にご相談ください。
確定申告を自分でやっていると、「ホームページ制作費の領収書、これ何費で打てばいいんだろう」と固まる瞬間があります。会計ソフトの勘定科目リストを開いても、「広告宣伝費」「通信費」「ソフトウェア」「繰延資産」など似たような選択肢が並んでいて、どれが正解か判断しづらいのです。
この記事では、ホームページ制作費の勘定科目を、金額の壁・実際の仕訳・インボイス制度の経過措置 の3つの軸でまとめます。雪工房(SNOW WORKSHOP)の単価帯で言えば、ほとんどのケースが「広告宣伝費で1行」で完結しますが、なぜそうなるかの根拠と、例外パターンの見分け方まで踏み込んで解説します。
HP制作費は何費? — 結論から言うと「ほとんどは広告宣伝費」
結論を先に書きます。中小規模の個人事業主が10〜20万円程度で発注する一般的なホームページ(コーポレートサイト・店舗紹介・LP)の制作費は、原則として「広告宣伝費」として支出時に全額経費に計上されるのが一般的 とされています。
国税庁の旧解説(タックスアンサーNo.5461、現在は同庁サイトから削除)でも、「ホームページは企業や新製品のPRのために制作され、内容が頻繁に更新されるため、開設費用の効果が1年以上に及ばない」という整理から、支出時の損金として扱うのが相当とされていました。掲載自体は終了していますが、この考え方は実務上の取扱いとして現在も引き継がれています。
ただし、注意したい 例外 が1つあります。制作費の中に 独自開発のシステム(プログラム) が含まれていて、それを1年以上使い続けるケースです。たとえば会員管理システム、独自の予約システム、ECのカート機能などをスクラッチで組んだ場合、その部分は 無形固定資産(ソフトウェア・耐用年数5年)として減価償却 が必要になります。
言い換えると、「読み物・名刺代わり」の静的なHP なら広告宣伝費、「業務システムの一部」になっているHP ならソフトウェア、と切り分ける考え方です。雪工房がお作りするのは静的HTMLベースの前者なので、この例外には該当しません。
金額で変わる4つの分岐 — 10万円・20万円・30万円の壁
ホームページが「資産」と判定された場合(=独自システムを含むなど)は、取得価額 によって処理が変わります。金額の壁は4つです。
| 取得価額 | 税務上の扱い | 経費計上のしかた |
|---|---|---|
| 10万円未満 | 少額の減価償却資産 | 消耗品費・広告宣伝費等で 全額一括 |
| 10万円以上 20万円未満 | 一括償却資産(選択可) | 3年間で均等償却(年あたり1/3) |
| 20万円以上 30万円未満 | 少額減価償却資産の特例(青色申告のみ) | 全額一括 or 通常の減価償却を選択 |
| 30万円以上 | 通常の減価償却資産 | 耐用年数5年で減価償却(ソフトウェア該当時) |
ポイントは、「取得価額」はホームページ全体の制作費合計 で判断する点です。「画像作成3万円+HTMLコーディング8万円=合計11万円」のような請求を、それぞれ別の科目で処理することはできません。一体として運用される機能の合計で見ます。
※ 取得価額は原則として税抜金額で判定します(税抜経理を採用している場合)。免税事業者や税込経理の方は税込金額で判定します。「29万円+税」と「29万円(税込)」では特例の適用可否が変わるケースもあるので注意してください。
そして冒頭の「ほとんどは広告宣伝費」に戻りますが、HPがそもそも「無形固定資産」と判定されない(=広告宣伝費として一括計上できる)ケース では、上の表にかかわらず、金額に関係なく支出時の費用として処理されるのが一般的です。一般的なコーポレートサイト・店舗紹介サイト・LPはこちら側の世界とされています。
雪工房の¥10,000〜¥15,000は「広告宣伝費」で1行で終わる
雪工房(月額0円ホームページのサービス詳細)でお作りする買い切り型のホームページは、初期費用 ¥10,000〜¥15,000 程度の価格帯です。この金額帯は、上の表で言うと 一番上の「10万円未満」の区分 に該当する金額レンジです。
freee や マネーフォワード クラウドの仕訳画面でいえば、「広告宣伝費」を1行入力するだけで完了 です。減価償却の計算も、固定資産台帳への登録も不要。確定申告書の「少額減価償却資産の明細書」も書く必要がありません。
※ 雪工房ではプログラムを伴う独自システム(会員管理・予約・EC機能など)は提供していません。静的HTMLを核にした構成のため、ソフトウェアとして資産計上が必要になるケースは基本的に発生しません。
このシンプルさは、確定申告をご自身でされている個人事業主の方にとって、地味ですが確かなメリットだと考えています。「経費にしたいから処理が複雑」では本末転倒なので、できるだけ 判断のコストを下げる ことを意識した価格設計です。
30万円以上なら「少額減価償却資産の特例」 — 2026年4月から40万円に拡大
「フルオーダーで30万円超のサイトを作りたい」「独自システム込みでガッツリ作りたい」という方には、少額減価償却資産の特例(中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例 / 措置法28の2)が使えます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 正式名称 | 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例 |
| 対象者 | 青色申告書を提出する中小企業者等(個人事業主も含まれる) |
| 取得価額の上限 | 30万円未満(〜2026年3月31日取得分)/40万円未満(2026年4月1日以降取得分) |
| 年間合計の上限 | 300万円まで |
| 適用期限 | 令和11年(2029年)3月31日まで |
| 対象資産 | 有形・無形(ソフトウェア・特許権・商標権等を含む)の減価償却資産 |
つまり、2026年4月以降に取得したホームページは、40万円未満であれば全額一括での損金算入が可能 とされています。これは 財務省 令和8年度税制改正の大綱 で正式に決まった内容です(国税庁タックスアンサー No.5408 の現行表記は30万円未満ですが、改正により2026年4月以降の取得から40万円基準が適用されます)。
※ 年間合計300万円の上限と、青色申告書の提出が要件です。白色申告ではこの特例は使えません のでご注意ください。また、特例を使うときは確定申告書に「少額減価償却資産の取得価額に関する明細書」を添付する必要があります(freeeなら自動生成されます)。
ドメイン・サーバー費の科目 — 通信費 or 支払手数料
ホームページ本体の制作費とは別に、毎月・毎年かかるのがドメインとサーバーの費用です。
- ドメイン年額(例: お名前.com で年¥1,500前後)→ 通信費 または 支払手数料 が一般的
- レンタルサーバー月額・年額 → 通信費 が一般的
- SSL証明書 → 通信費に含めるケースが多い
実は、これらの科目について国税庁から明確な公式定義は出ていません。実務慣行として「通信費」で統一 しておけば、税務調査で問題になることはほぼありません。一度決めた科目は、年度をまたいで 変えずに統一 することの方が大事です(科目を年ごとにコロコロ変えると、税務署側から「処理がブレている」と見られます)。
なお、1年分まとめて前払い したサーバー代は、短期前払費用の特例(法人税基本通達2-2-14、所得税にも同様の取扱いあり)を使えば、支払時に全額経費にできます。月割り按分の手間を省ける、地味に便利な処理です。
freee/マネーフォワードでの仕訳イメージ
ここからは、実際の仕訳をテキストで起こします。クラウド会計ソフトの「振替伝票」または「自動仕訳ルール」に登録するイメージです。
仕訳イメージ①: 10万円未満のサイト制作(一般例・青色申告)
| 日付 | 借方 | 貸方 | 摘要 |
|---|---|---|---|
| 2026/05/15 | 広告宣伝費 12,000 | 普通預金 12,000 | ホームページ制作費(制作会社名) |
freee の場合は、口座連携で取り込んだ取引明細に対して 勘定科目「広告宣伝費」を割り当てる という流れが一般的です。マネーフォワードクラウドもほぼ同じ流れになります。
仕訳イメージ②: 独自システム込みで¥350,000の制作費(一般例・少額減価償却資産の特例適用ケース)
| 日付 | 借方 | 貸方 | 摘要 |
|---|---|---|---|
| 2026/05/15 | 工具器具備品 350,000 | 普通預金 350,000 | ホームページ制作費(資産計上) |
| 2026/12/31 | 減価償却費 350,000 | 工具器具備品 350,000 | 少額減価償却資産の特例 全額損金算入 |
freee では「固定資産台帳」に登録する際、償却方法で「少額償却資産特例」を選択 すれば、決算時に自動で全額損金として処理されます。確定申告書の「少額減価償却資産の取得価額に関する明細書」もfreeeが自動生成してくれるので、青色申告であれば実務的な負担はそれほど大きくありません。
インボイス制度下での適格請求書の扱い — 2026年10月から控除割合が80%→50%へ
消費税の課税事業者の方は、ホームページ制作会社が 適格請求書発行事業者(インボイス事業者) かどうかで、仕入税額控除の額が変わります。
インボイス制度の 経過措置スケジュール は次のとおりです(消費税法等の一部改正等の附則)。
| 期間 | 免税事業者からの仕入の控除割合 |
|---|---|
| 2023年10月1日 〜 2026年9月30日 | 仕入税額相当額の 80% を控除 |
| 2026年10月1日 〜 2029年9月30日 | 50% に縮小 |
| 2029年10月1日以降 | 控除不可(経過措置終了) |
つまり、2026年10月以降は、インボイス番号がない請求書では仕入税額の半分のみが控除対象 となります。この記事の公開時点(2026年5月)から数えて、80%控除の期限は あと約5か月。発注先を選び直すかどうかの判断材料になります。
雪工房は 適格請求書発行事業者として登録済み で、見積書・請求書・領収書すべてに登録番号(T〜)を記載しています。発注いただく段階で控除上の不利は発生しません。
※ ご自身(個人事業主側)が 免税事業者 の場合は、そもそも消費税の申告・納付が不要のため、この経過措置の影響は受けません。「自分が免税か課税か」をまず確認してから判断してください。基準期間(前々年)の課税売上高が1,000万円以下なら原則として免税事業者です(インボイス登録した場合を除く)。
失敗しないチェックリスト
確定申告期に「経費にできなかった」「税務署から指摘された」を防ぐため、最低限の備えを5つ並べます。
- 適格請求書(インボイス)の登録番号がある請求書・領収書をもらう:課税事業者は必須。番号は「T」で始まる13桁の数字。請求書に記載がなければ発行元に依頼する
- 摘要欄に「何の費用か」を一文で書く:「ホームページ制作費(雪工房)」のように 事業者名と用途 を残す。空欄や「業務委託費」だけだと税務調査で説明できない
- 30万円以上は固定資産台帳に登録:少額減価償却資産の特例を使う場合も、明細書の添付が必要。freee/マネフォは自動生成可
- ドメイン・サーバー代の科目を年度間で統一する:通信費なら通信費でずっと通す。途中で変えない
- 領収書・請求書の電子保存ルール(電子帳簿保存法)を守る:クラウド会計に取り込み済みなら基本OK。紙で受け取ったものはスキャンして保存
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※ 再掲 — 本記事の内容は2026年5月時点の制度に基づいています。税制改正・国税庁の通達変更により、取扱いが変わる可能性があります。実際の経費計上にあたっては、必ず 最新の税法・通達 を確認の上、顧問税理士または所轄の税務署 にご相談ください。記載の金額・期限は執筆時点での最新情報ですが、最終的な責任は読者ご自身に帰属します。
雪工房では、お見積もり時に 適格請求書(インボイス)の登録番号入りの見積書・請求書・領収書 をあわせてお渡ししています。ホームページ制作のご相談は お問い合わせフォーム(または LINE)から、業種・規模・ご要望をお聞かせください。個別の税務処理・勘定科目の判断についてのご相談は、顧問税理士または所轄の税務署へお願いいたします。